あしが動かなければ手であるけ。
てがうごかなければゆびでゆけ。
ゆびがうごかなければ歯で雪をゆきをかみながらあるけ。
はもだめになったら、目であるけ。
目でゆけ。
目でゆくんだ。
めでにらみながらめであるけ。
めでもだめだったら
それでもなんでもかんでもどうしようもなくなったら
ほんとうにほんとうのほんとうにどうしようもなくなったら
ほんとうにもううごけなくなってうごけなくなったら-
思え。
ありったけのこころでおもえ。
ヒトラー版ランボー
何も終わっちゃいねえ! 何も! 言葉だけじゃ終わらねえんだよ!
俺の戦争じゃなかった、ユダ公を儲けさせるために戦わされたんだ!
俺は大ドイツが勝つためにベストを尽くした。だが誰かがそれを邪魔した!
シャバに戻ってみると、共産主義者どもがぞろぞろいて抗議しやがるんだ!
俺のことボヘミアの伍長とかなんとか言いたい放題だ。やつらに何が言えるんだ!
奴等はなんだ俺と同じあっちにいてあの思いをして喚いてんのか! 俺にはシャバの人生なんか空っぽだ!
戦場じゃ礼節ってもんがあった。助け合い支えあっていた。ここじゃ何もねえ…
あっちじゃ銃も撃てた。馬にも乗れたよ! 100万人の戦友と戦えた!
それが国に戻ってみれば、画家にも建築家にもなれないんだ!!
畜生…みんなどこ行ったんだ…クソ…
陸軍にも友達がいた。みんないい奴だった。あっちじゃ友達はごまんといた。
それなのにどうだ? ここには何もねえ…
ダンフォース…憶えてる。俺いつか羽根ペン一本とって拾い物ってベルリンに送ったんだ。
俺たちいつもベルリンのこと、婚約者のこと喋ってたから、あいつはいつもかわいい婚約者のこと喋ってた。
帰ったら二人で結婚式をあげるんだって…
俺たちがいたあの最前線に軍曹がやってきて、盗んできたフランスワインを持って『一緒に飲まないか』そう言ったんだ…俺は断ったが、しつこくせがむんでジョーイは承知したんだ。
俺、ビールを取りに出た。その時、塹壕に手榴弾が投げられ、あいつの体は吹っ飛ばされちまった!
すごい悲鳴だった! あいつの血や肉が俺の体にべっとりついてこんなに!!
引っぺがさなきゃならなかった! 友達が、俺の体中に飛び散って! 俺、なんとかあいつを抑えようとしたけど、どうしても内臓がどんどん出てくるんだ! どうにもできなかった! あいつ言うんだ『俺うちへ帰りてぇー帰りてぇー』
そればっかりだ『国へ帰りてぇー帰って婚約者に会いてえよー』
でも…あいつの足がみつからねえんだ…足がみつからねえんだ…
あれが頭にこびりついてる。もう7年にもなるのに…毎日思い出すんだ…
目が覚めて、どこにいるのか分かんねえ時もある。誰とも喋れねえ…時には一日…一週間も…忘れられねえ…あれが…
SE版ランボー
何も終わっちゃいねえ! 何も! 言葉だけじゃ終わらねえんだよ!
俺の仕事じゃなかった、派遣されてやれって言われたんだ!
俺はブラック企業のためにベストを尽くした。だが誰かがそれを邪魔した!
ネットをみると、元請けの正社員どもがぞろぞろいて抗議しやがるんだ!
俺のこと残業代泥棒とかなんとか言いたい放題だ。やつらに何が言えるんだ!
奴等はなんだ俺と同じあっちにいてデスマーチをして喚いてんのか! 俺にはシャバの人生なんか空っぽだ!
職場じゃ礼節ってもんがあった。助け合い支えあっていた。ここじゃ何もねえ…
あっちじゃ役所のシステムも作った。クラウドシステムも作ったよ! 100万ユーザーの接続するサイトを設計した!
それが田舎の実家に戻ってみれば、駐車場の係員にもなれないんだ!!
畜生…みんなどこ行ったんだ…クソ…
ブラック企業にも友達がいた。みんないい奴だった。あっちじゃ友達はごまんといた。
それなのにどうだ? ここには何もねえ…
談志定一…憶えてる。
俺いつかコスプレ写真とって拾い物ってアキバのメイド喫茶に送ったんだ。
俺たちいつもメイド喫茶のこと、車のこと喋ってたから、あいつはいつも赤い角付きの痛車のこと喋ってた。帰ったらタイヤが擦り切れるまで走ろうって…
俺たちがサビ残していたあのブースに部長がやってきて、発注書を持って『仕様変更してくれるかな』そう言ったんだ…俺は断ったが、しつこくせがむんで定一は承知したんだ。
俺、タバコをすいに廊下に出た。仕様変更書にzipがついていて、開けるとウイルスでシステムが吹っ飛ばされちまった!
すごい悲鳴だった! あいつの吹き出したコーヒーが俺の体にべっとりついてこんなに!!
電源を落とさなきゃならなかった! 銀行の顧客情報が、ネット中に飛び散って! 俺、なんとか情報漏洩を抑えようとしたけど、どうしてもデータがどんどん出てくるんだ! どうにもできなかった! あいつ言うんだ『俺うちへ帰りてぇー帰りてぇー』
そればっかりだ『国へ帰りてぇー帰って痛車乗り回してえよー』
でも…あいつの目の焦点があってねえんだ…焦点があってねえんだ…
あれが頭にこびりついてる。もう7年にもなるのに…毎日思い出すんだ…
目が覚めて、どこにいるのか分かんねえ時もある。誰とも喋れねえ…時には一日…一週間も…忘れられねえ…あれが…